天使の囀り

天使の囀り

天使の囀り

なぜコレを読もうと思ったのかは忘れてしまった。どこかでポジティブな書評でも見たのだろう。随分と昔に書店で立ち読みして呆れた十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)と同じ著者だったコトを後で知り、とても微妙な気分になってはいたが、とりあえず読んでみた。

悪くはない。とても良いとも思わなかったが詰まらなくもなかった。ホラーというほど怖くはなく、ミステリというほど謎があるわけでもなく。あえて表現するならサスペンス……だろうか。少々描写は気持ち悪いものの、これはわたしの苦手なアレが現れたからだと考えている。表現がどうこうではない。固有名詞が好くなかっただけである。

文章はほとんどが諄くない。その淡々とした書きっぷりがわたしにとっては遠くなく、しかし決して近くもないところにあって、妙に肉感的だった。ありがちな弱さは上手く描かれていたと思う。