彼方を立てれば此方が経たぬ

受験がうまくいった人におめでとうと言うと、
「ぼくは落ちました。そういう人間がいることも、
もっと考慮してくれてもよいのではないでしょうか」と、
マジメに書いてくる人のことを、
ぼくはどう扱えばいいのかわからない。
いちばん本音のところで言えば、
「そんなこと言ってくるな!」という気持が近い。
オレならそういうことは言わないな、ということだ。
会ったこともない人間にまで甘えるんじゃねーよ、
ということだ。
しかし、そういう感想を持つ人もいるんだということを、
知ってしまうので、
次からはちょっと気をつけて書くかもしれない。

合格したヒトへの祝福と不合格だったヒトへの慰藉は向きが違うだけで、あまり変わらないとわたしは思う。前者の方がポジティブなので喜ばれるコトが多いだろう、という程度で。どちらを選んでも、選ばれないどちらかがあって、選ばれなかった方に所属する誰かは嬉しくないかもしれないし、選ばれなくても不快にならない誰かも勿論いるんだろう。

ただ、合格したヒトは、たぶんほとんどにとってポジティブな感情が大きいから自分が選ばれなくても気になり難い。対して不合格だったヒトは、たぶんほとんどがネガティブな気持ちを抱いているから選ばれなかった事実に引っ掛かり易い。そんなところじゃないかなと。

なのでそういう場合は、何の接点もない方にそう言われた場合は「だが断る」でよいのでは、と思った。それで済ませられないような著名人や済ませられないような相手だったら届かなかった気付かなかったコトにするとか。そういう隙を作らないのが一番ではあるのだろうけれど、そもそもそんな留意を抱えながら日常を過ごしたくはないだろう。

わたしもこういう発言をしがちな性格だと感じているので、考えてみた。友人どころか知り合いでもない方に対して本気でそう訴えようとは流石に思わないが。せいぜいが友人に軽く嘯く程度だと……思いたいが。

もし、合格者がいれば不合格者がいるという可能性に思い当たらなかったのだとしても、選ばれなかったどちらかが在るというコトは現実だとも思う。わたしはそれを自覚していたい。……たぶんこういうところからして、鬱陶しいのだろうな。