山田工業所製の中華鍋

テフロン加工された深めのフライパン。卵が焦げ付くようになってしまったと思った。思った、というのは、火加減が強すぎた所為だったらしく、弱火からだんだん中火へ上げれば焦げ付かなくなったのである。しかし、それに気づいたのは中華鍋を注文した後であった。

というわけで、せっかくなので山田工業所製の中華鍋を注文した。具体的には鉄打出し中華鍋底平型27cmである。空焼きするのが面倒かつ、生来の雑さ加減からニスをきっちり焼き切る自信がなかったので「バーナーで炙って食用油を塗る」オプションつきでお願いした。受注生産のため90日〜120日ほどかかるそうだが問題ない。

そして、それが届いた。黒光りする頼もしいヤツ。付属の取扱説明書によれば、いちど多めの油でくず野菜を炒めろとある。カット野菜ばかり購入していたので、マズいな……と思いつつ冷蔵庫を覗けば、たまたま玉ねぎがあった。喜び勇んで適当に切り、サラダ油をどばっと入れ、てけとーに炒める。

あっつあつの油をそのままシンクへ流すわけにはいかない。悩んだ末、陶器の茶碗にぶっこんだ。

ここからが本番である。くず部分ではない玉ねぎと卵でインスタントラーメンを作った。特記すべき事件は……卵を1つ、床に落とした以外に起こらなかったので、詳細は割愛する。ただ、強火にしやすいので、全ての材料は揃えてから鍋に向かえという中華の基本をしみじみ実感することができた。

後片付けが、また好い。洗った後すぐに火へかけ、水分が蒸発する様を見るのは楽しい。油を塗るあたりなんか最高である。ここは調理場、ならば中華鍋は武器であり、使った武器を手入れする――この瞬間、わたしは戦士なのだ。

もっと早く買えば好かったと思った。鉄の調理器具、おすすめ。